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Q.遺産分割前に預金を払い戻しできますか?

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従来、預金は金銭債権であり、相続開始と同時に当然分割され、各相続人に法定相続分に従って帰属するので(最判昭和29年4月8日)、預金債権は、法律上当然に分割されると解されていました。

ところが、平成28年12月19日付け最高裁決定が預金債権は遺産分割の対象になるとの判断を示しましたので、遺産分割前の預金の払戻はできなくなりました。

それでは葬儀費用等に困る場合もあることから、民法改正により、令和元年7月1日から預貯金の仮払制度が始まりました。

仮払制度により、相続人が遺産に属する預貯金債権の一部を家庭裁判所の判断を経ないで払い戻しを受けることができるようになりました。

払戻額の上限は、相続開始時の預貯金残高の3分の1×払い戻しを求める相続人の法定相続分を掛けた額です。ただし、同一の金融機関の払戻額の上限は150万です。

例えば、被相続人の預貯金残高が1500万円、相続人が子2名の場合、子1名の払い戻し額は、1500万円×3分の1×2分の1(相続分)=250万円になります。