• 離婚

Q.別居中の児童手当

  • 婚姻費用

 児童手当は、子供の親のうち所得の高い方に支給されますので、通常、夫の口座に入金されています。しかし、別居後には、同居している親が児童を養育していると考えられることから、児童と同居している親に受給する権利があります。たとえ、別居中に、別居していない親が同居している親に生活費を支払っていても、この結論は変わりません。
 そのため、別居後には、速やかに児童手当の受給者を変更することが必要になります。

(詳細は、内閣府の児童手当についてのHPを参照ください。)

 では、受給者の変更が間に合わず、従来の受給者に児童手当が振り込まれた場合、どのようにして回収すればいいでしょうか?

 これは、不当利得返還請求の問題になります(不当利得返還請求とは、法律上の原因なしに利益を得た人にその利益の返還を求める請求です。民法703条704条)。そうすると、裁判で回収する場合には、家庭裁判所ではなく民事事件の裁判所(簡易裁判所、地方裁判所)で訴訟をすることになります。
 しかし、数ヶ月分の児童手当のために、民事訴訟をするのは、費用、時間を考慮すると現実的ではありません。そこで、実際には、婚姻費用分担請求調停・離婚調停の中で児童手当の返還を求め、婚姻費用の既払金での調整、財産分与での清算等を求めることになります。ただし、前述のとおり、不当利得返還請求は民事上の請求権であるので、家庭裁判所が児童手当の返還を命じる審判を出すことはできません(東京高裁平成21年4月21日決定)。